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名古屋高等裁判所 昭和50年(く)6号 決定 1975年3月27日

少年 Y・J(昭三〇・四・一九生)

主文

本件抗告を棄却する。

理由

一、論旨第一点

所論は、本件非行のうち窃盗、同未遂の事実中には、申立人が関与しないものがあるにもかかわらず、この点積極に解した原決定は、事実を誤認したものというものである。しかしながら、一件記録によると、原決定掲記第一の各事実は、申立人が、直接それらの実行行為を分担し、あるいは、すくなくとも、共謀加功したものである点を含めて、これをすべて認めることができる。申立人は、所論のように主張するものであるが、捜査官に対し、家庭裁判所調査官の調査に際し、そして、原審審判廷においてすら、すべての事実を自白しており、右自白、特に捜査官に対する自白は、詳細かつ具体的であつて、十分信用性を有するものと認められる。一件記録を精査しても、他に、原審の認定を左右するに足りる証拠は、これを発見できない。原決定に所論にいうような違法はなく、論旨は理由がない。

二、論旨第二点

所論は、結局、申立人は、当時、反復してなした一連の非行について、松江家庭裁判所および名古屋家庭裁判所において、既に、保護観察および不処分の決定を受けたものであり、これですべて終つたと解していたところ、本件により、あらためて、中等少年院に送致されるに至つたことは、まことに意外であり、上記の点および、担当保護司ともよく連絡をとつていたこと等からみて、原決定の処分は、著しく重きに過ぎ、違法であるというものと解せられる。そこで、所論にかんがみ、一件記録を精査するに、申立人の昭和四七年八月以降の非行歴は、原決定に添付された、窃盗非行一覧表および交通関係非行一覧表のとおりと認められるが、これによると、本件非行中には、もとより所論に指摘するすでに審判を受けた事実は含まれておらず、しかも、原決定に記載された各非行事実中、第四および第五は、最終の審判後になされたものであることは明白である。たしかに、所論のいうとおり、本件非行中、窃盗、同未遂のすべてを含む大部分の非行は、所論の指摘する、審判を経た非行の余罪にあたるものではあるが、仮りに、前件審判時に、本件非行が、申立人の要保護性把握の資料として評価されたとしても、なお、この一事をもつてしては、原審が、さらに、これについて、申立人に対し、中等少年院送致の保護処分を執つたことを非難することはできない。

そこで、本件非行、および、申立人の最近(特に保護観察に付されて以降)の行状を、一件記録よりみるに、まず、本件非行は、その動機原因、回数、態様、罪質、被害状況等の犯情に照らして、まことに重大悪質というのほかなく、さらに、その最近の生活態度をみても、保護観察の遵守事項を平然と無視して、悪友と交際を続け、そのうえ、何等運転免許を有しないにも拘らず専用の普通乗用自動車を購入して、日常茶飯のごとく無免許運転を反復し、遂には人身事故を惹起するなど、まことに無軌道かつ無秩序なものと認められるうえ、加えて申立人は、今日においても、これらについてほとんど罪悪感を有してはおらないことがうかがわれるので、もし放置するならば、再び非行を反復するであろうことは、まさに自明の理ともいうべく、その他、後述のごとき、申立人の性格、行動傾向、保護観察の成績、および、保護者が既に保護の意慾と自信を喪失していることなど一切の情状からみても、もはや在宅保護にその効果を期待できないことは明らかである。原決定がこの点に、深く思いを致し、少年を中等少年院に送致したのは、まことに相当であつて、到底重きに過ぎるものとは認められない。

なお、所論は、申立人は、保護観察対象者であるところ、つとめて担当保護司をたずねて、近況を報告し、助言を求め、転居、転職に際しては、その都度連絡をするなどしており、対象者としての義務の懈怠はなかつた旨主張するので、附言するに、本件記録中の名古屋家庭裁判所調査官石原潔作成名義の昭和五〇年二月七日付意見書、および、名古屋保護観察所長宮内正祐作成名義の同年一月二九日付保護観察状況等報告書の各記載によると、申立人は、ただ、積極的に担当保護司をたずねようとはしなかつたのみならず、観察開始直後より、無断転居、無断転職を反復し、そのため、保護観察所は、時として申立人の所在さえも把握できず、ひいては観察の実施が不能となるといつた状況にあつたこと、および、申立人が履行すべく義務づけられた特別遵守事項のすべての項目が、原決定の詳細に説示するとおり履行されず、むしろ、無視されてさえいること、さらに加えて、これらの原因は、原決定が説示するとおり、ひとえに申立人の独善的、かつ、自己中心的な性格、思考様式および行動傾向の発露によるものというのほかはないことといつた諸事実が認められる。右諸事実からみると、申立人には、保護観察に従い、更生の実を挙げようとの意慾は、ほとんどみられないと認めるほかはないのであつて、この点からみても、その反社会的傾向は、既に在宅保護の限界を、はるかに起えたものであることが明白である。

原決定に、所論にいうような違法はなく、論旨は理由なきに帰する。

よつて、少年法第三三条第一項により、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 平野清 裁判官 岩野寿雄 大山貞雄)

参考 原審決定(名古屋家裁 昭四九(少)A四九八一号・同A五二八三号・同A六三八二号 昭五〇(少)三七四号昭五〇・二・一二決定)

主文

少年を中等少年院に送致する。

理由

(非行事実および適用法令)

少年は、

第一 昭和四八年八月二二日午前一時三〇分頃、AおよびBと共諜のうえ、名古屋市南区○町×丁目××番地名四国道下○○駐車場において、同所駐車中の普通貨物自動車内から○川○高所有にかかるテープ・レコーダー等を窃取したのをはじめ、昭和四九年三月三日までの間、昭和五〇年少第三七四号事件記録中の司法警察員作成にかかる昭和四九年一一月一八日付少年事件送致書および同日付追送致書記載の犯罪事実のとおり、窃盗四三件、窃盗未遂五件の非行をなし(刑法二三五条、六〇条。未遂の点につきさらに同法二四三条。)、

第二 昭和四九年八月一七日午後九時三〇分頃、昭和四九年少第A五二八三号事件記録中の交通事件原票記載のとおり、名古屋市南区○○通地内において普通乗用自動車を無免許運転したうえ指定最高速度違反(四〇キロメートル毎時のところ二五キロメートル毎時超過)の非行をなし(道路交通法六四条、一一八条一項一号、二二条一項、一一八条一項二号。)、

第三 昭和四九年八月二四日午後一一時五〇分頃、昭和四九年少第A四九八一号事件記録中の交通事件原票記載のとおり、静岡県湖西市○○地内において普通乗用自動車を運転操作に支障のある下駄を着用したまま無免許運転し(道路交通法六四条、一一八条一項一号、七一条六号、一二〇条一項九号、静岡県道路交通法施行細則九条三号。)、

第四 昭和四九年一〇月二二日午後一〇時三〇分頃から同日午後一〇時四〇分頃までの間、昭和四九年少第A六三八二号事件記録中の司法警察員作成にかかる昭和四九年一一月八日付少年事件送致書記載の犯罪事実のとおり、島根県簸川郡○○町地内において普通乗用自動車を無免許運転したうえ、指定最高速度違反(五〇キロメートル毎時のところ四〇キロメートル毎時超過)、赤色信号無視三件、踏切一時不停止一件の非行をなし(道路交通法六四条、一一八条一項一号、二二条一項、一一八条一項二号、七条、一一九条一項一号の二。)、

第五 昭和五〇年一月二一日午前七時四〇分頃、昭和五〇年少第四七二号事件記録中の司法警察員作成にかかる昭和五〇年二月一〇日付少年事件送致書記載の犯罪事実のとおり、名古屋市南区○○通地内において普通乗用自動車を無免許運転のうえ追突人身事故を惹起し(道路交通法六四条、一一八条一項一号、刑法二一一条前段。)

たものである。

(処遇の理由)

一 少年は、昭和四九年五月二日松江家庭裁判所において松江保護観察所の保護観察に付する旨の決定を受け、その後の住居移転に伴ない、現在名古屋保護観察所による保護観察継続中のものであるが、上記認定の本件各非行を含め、別紙窃盗非行一覧表および交通関係非行一覧表記載のとおり、多数の非行歴を有している。(なお、別紙窃盗非行一覧表の記載からも明らかなとおり、上記認定第一の窃盗・同未遂の各非行は前件保護観察決定のいわば余罪に相当するものであつて、同決定の際には捜査未了で判明はしていなかつたにせよ、同表中の「岡崎支部(不処分)」と記載した非行とともに、要保護性の判断素材の一部として実質的には考慮されていたとみなし得るものである。)

二 ところで、前件保護観察決定時において少年に対して期待されていた更生のための自覚的努力のことごとくはその後全くといつてよいほどに実行されることなく、保護者および保護観察所その他の機関による少年に対する働きかけは実質的になされ得ないまま本件第二および第三非行により観護措置決定がなされるまで経緯してきてしまつたと認めざるを得ない。即ち、

(1) 前件保護観察決定自体が、少年の表明した「当分は家庭に落ち着きたい」との意向を前提としてなされたものと覗われるばかりか、松江保護観察所においても当面は両親の許で生活するよう指導したにもかかわらず、少年は、上記決定の僅か数日後に、父母の許諾すら得ることなく愛知県安城市の旧職場に身辺整理名下に単身でかけたまま再就職してしまい、保護者および保護観察所においてはこれを事後承認する以外ない状況を作出してしまつた。

(2) 少年に対する保護観察の特別遵守事項には「無免許運転は絶対にしないこと」の項が設けられており、このことは少年が前件決定時まで無免許運転の常習性を相当に色濃く身につけてきていたばかりか二回にわたり人身事故を惹起していたとの事情の下で特に重要な意義を有していたにかかわらず、少年は、昭和四九年七月九日には自己の専用車として普通乗用自動車を購入し、以後常習的にこの運転に従事してきた。本件第二ないし第五の非行はその一端である。

(3) 保護観察の特別遵守事項中「就職して真面目に辛抱強く働くこと」および犯罪者予防更生法三四条二項による一般遵守事項(特に、一定の住居に居住し、住居を転じるにはあらかじめ保護観察を行う者の許可を求めること)については、上記保護観察決定後今日に至るまで殆ど守られることなく、少年は、さしたる理由もないまま名古屋市およびその周辺、大阪市内等を転々として無断転居、無断転職を重ねてきたものであつて、保護観察所においては少年の所在を確知し得ないまま指導を加えることができず、別紙交通関係非行一覧表記載のとおり、家庭裁判所および検察庁においても少年に対し適宜の措置をなし得ないまま経過してきた。特別遵守事項中の「毎月担当保護司を訪問し生活状況を報告すること」の条項についても当然のことながら少年の遵守の姿勢は認め難く、時折り訪問がなされてもその僅か後には所在の把握が不可能となる状況を重ねてきたものであり、生活指導を継続して行うための保障としての担当保護司との接触という目的は達し得ないできた。

(4) 特別遵守事項中の「共犯者との交際はやめること」との条項も守られることなく、本件第四の非行は、窃盗非行の共犯たるC(神奈川県海老名市在住)らをドライブに誘つて、名古屋市-静岡市-山梨県韮崎市-名古屋市-京都市-島根県と途中二泊しながらの無免許長距離ドライブを楽しんだ挙句の違反という状況であつた。

三 上記のとおり、前件保護観察決定時において少年に対し期待したものの悉くが裏切られてきたとはいうものの、それが少年の側からする意図的な遵守事項無視の態度ないし自暴自棄的な更生意欲の喪失等といつたものに基づくのではなく、少年が相当強固なものとして身につけてきている独善的とも評し得るような自己中心的な思考様式および行動傾向の直接の発露であると思料される点に、少年の更生をはかるうえでの問題点が認められるのである。

(1) 少年の社会規範一般に対する意識には、独善的かつ自己中心的な歪みが強度に存するものと認められ、上記した遵守事項違反の各点や本件各非行について一応の反省的言辞は示すものの、更に細部にわたつて問い質すと、傲慢ともみられるような素顔をもつて、自己の誤つていない旨を強弁するに至るのである。しかも、それが自己の非なることを知りつつ脆弁をもつてとりつくろおうとする類のものではなく、少年の真意として発する反応であるところに、社会性の発展がはかられないままに極めて独善性の強い行動規範を身につけてきているとの総じて未熟な人格発展段階にとどまつていることが認められるのである。

(2) 少年自身は以上のことに自ら気付ける段階に達しておらず、相当の知的能力もあり行動力も有し、また建設作業機械運転免許をも取得して一応の技能も認められていることなどから、少年は、客観的には慢性的放浪状態ないし社会不適応状態(もつとも端的な形では少年が一定の職場に定着し得ないでいることに発現している。)にありながら、これを意識し得ない状況におかれている。そして、公立高校受験失敗という挫折体験以降ほぼ一貫してかかる状況下にあつて適切な保護者が身辺に存在していなかつたことが、一方では少年の表面的な対人接触能力を向上させまた生活力とも評し得べき行動性を発展させてきたことは否めないけれども、その全行動が粗雑で方向性の欠落した場あたり的な自我拡大傾向、混乱した自己顕示傾向を有するものとして経過してきたことの原因となつていると思料される。現在の時点においては、少年がこのようにして成育してきたことからくる行動傾向と上記した歪んだ規範意識にとらわれたままでいることとが全体として作用して、少年の生活全般をとりとめのない混乱状況、常識的な社会規範の枠をも逸脱した一貫性のない慢性的社会不適応状態におとしこむ原因となつていると断ぜざるを得ない。

(3) しかも、少年の上記した生活状況は、少年の自己顕示額向ないし方向性において混乱した自我拡大傾向に照らすとき、容易に諸種の非行に連らなるものであるが故に、矯正の対象として取り扱つていかねばならないものなのである。

四 上述した少年の現況に鑑み、少年を社会内において処遇することはもはや従らに少年の有する問題点を拡大、固定化してしまうものとして相当ではなく、この際少年をいつたん施設内に収容して「一般社会の多様な刺戟から離れた所で、自分の行動や考え方などに目を向けるようにしむけ、自己中心的で粗雑な自我拡大傾向をもつた態度、価値観、要求水準などを問い詰め、緻密に再検討させてゆくことが必要である」(鑑別結果)と認められる。その際には、上記した少年の問題点に照して当然のことながら、いわば一方通行的に少年に対して社会規範を教え込むとの基本態度をもつて少年に接していくならば決して望ましい結果は得られることなく既に少年の歪んだ規範意識をかたくなに固めるだけのものになつていまうことが危惧されるのであるから、少年の不平や不満、価値観や少年の考える規範などを素直に吐露できる少年をめぐる施設内の人間関係の形成に特段の意を払いつつその中で少年が真に納得して正しい社会規範と安定した行動傾向を身につけていけるよう配慮することが強く望まれるのである。

少年の非行性の程度、年齢、更生のために必要とされる上記処遇上の配慮その他諸般の事情を総合すれば、少年を収容すべき施設としては中等少年院が相当と認められる。

(結論)

以上のとおりであるので、少年法二四条一項三号、少年審判規則三七条一項を適用して、主文のとおり決定する。

(裁判官 八田秀夫)

(註) 一 上表備考欄中、

(1) 松江家裁(保護観察)とあるものは、当庁において昭和四九年四月一〇日事件受理、同日観護措置決定のうえ、身柄付のまま松江家庭裁判所に移送、同家庭裁判所において同年五月二日保護観察決定となつた際の非行事実である。

(2) 岡崎支部(不処分)とあるものは、当庁において昭和四九年四月三〇日事件受理、松江家庭裁判所に移送後、さらに当庁岡崎支部に移送されて、同支部において同年一〇月四日不処分(別件保護中)となつた際の非行事実である。

(3) 本件とあるものは、当庁において昭和四九年一一月二六日事件受理、大阪家庭裁判所へ移送後、さらに当庁へ移送されて本件における審判の対象となつた非行事実である。

二 上表記載全非行の概容は、少年およびABCDEらによつて構成されていた窃盗グループによる被害総額二五〇万円余うち現金(一一〇万円余)の窃盗であつて、賍品は各非行の関与者間でほぼ均等に分配されていたものの如くであ

窃盗非行一覧表

番号

非行年月日

非行場所

非行熊様

備考

昭和四八年八月二二日

名古屋市南区○町

車上狙五件

本件

同年一〇月一五日

同市緑区○○町

旅館荒一件

本件

同年同月一八日

愛知県刈谷市○○町

事務所荒一件

本件

同年同月二〇日

愛知県高浜市○○町

車上狙一件

本件

同年同月二四日

愛知県安城市○○町

車上狙一件

本件

同年同月二五日

愛知県碧南市大字○○

愛知県大府市○○町

車上狙六件(うち未遂二件)

出店荒一件

本件

本件

同年同月二七日

愛知県豊田市○町

車上狙一三件

本件

同年同月三一日

名古屋市南区○○町

同市同区××町

事務所荒一件

車上狙一件

本件

本件

同年一一月二日

愛知県岡崎市○○町

倉庫破一件

本件

一〇

同年同月五日

愛知県豊田市×町

給油所荒一件

岡崎支部(不処分)

一一

昭和四八年一一月一三日

三重県四日市市○○○町他

三重県四日市市大字○○○

三重県四日市市○○町

給油所荒四件

飲食店忍込一件

事務所荒一件

岡崎支部(不処分)

岡崎支部(不処分)

本件

一二

同年同月一六日

愛知県一宮市今○○町他

他事務所荒四件(うち未遂二件)

本件

一三

昭和四九年一月二〇日

名古屋市緑区××町

名古屋市緑区××町

給油所荒二件

事務所荒(未遂)一件

本件

本件

一四

同年同月二二日

三重県四日市市○○

三重県四日市市××町他

事務所荒一件

給油所荒三件(うち未遂一件)

岡崎支部(不処分)

岡崎支部(不処分)

一五

同年同月二三日

愛知県豊田市○○町

給油所荒一件

本件

一六

同年同月二四日

愛知県豊田市××町他

愛知県豊田市×町他

給油所荒二件

事務所荒二件

本件

本件

一七

同年三月三日

愛知県津島市○○町他

事務所荒二件

本件

一八

同年同月六日

名古屋市中川区○○町

名古屋市中川区××町

給油所荒一件

事務所荒一件

岡崎支部(不処分)

岡崎支部(不処分)

一九

同年同月八日

愛知県半田市○○町他

事務所荒二件(うち未遂一件)

岡崎支部(不処分)

二〇

同年同月一三日

愛知県稲沢市○○町他

名古屋市中川区△△町

給油所荒二件(うち未遂一件)

事務所荒一件

岡崎支部(不処分)

松江家裁

(保護観察)

(註) 一 上表備考欄中、   (1) 松江家裁(保護観察)とあるものは、当庁において昭和四九年四月一〇日事件受理、同日観護措置決定のうえ身柄付のまま松江家庭裁判所に移送、同家庭裁判所において同年五月二日保護観察決定となつた際の非行事実である。

(2) 岡崎支部(不処分)とあるものは、当庁において昭和四九年四月三〇日事件受理、松江家庭裁判所に移送後、さらに当庁岡崎支部に移送されて、同支部において同年一〇月四日不処分(別件保護中)となつた際の非行事実である。

(3) 本件とあるものは、当庁において昭和四九年一一月二六日事件受理、大阪家庭裁判所へ移送後、さらに当庁へ移送されて本件における審判の対象となつた非行事実である。

二 上表記載全非行の概容は、少年およびABCDEらによつて構成されていた窃盗グループによる被害総額二五〇万円余うち現金(一一〇万円余)の窃盗であつて、賍品は各非行の関与者間でほぼ均等に分配されていたものの如くである。

交通関係非行一覧表

番号

非行年月日

非行の場所及び態様

備考

昭和四七年八月八日

名古屋市南区

自動二輪車無免許運転

昭和四七年一〇月一六日当庁三回講習授講指示・昭和四八年一月二四日同上講習終了に伴ない不処分(保護的措置)

同年同月二五日

名古屋市南区

普通車無免許運転

番号一の非行に併合処理

昭和四八年一〇月六日

名古屋市南区

普通車無免許運転・人身事故

現行犯逮捕されて即日釈放・当庁において昭和四八年一二月一四日事件受理後、調査のための呼出しに応じないまま所在不明となり、別紙窃盗非行一覧表番号二〇、後段の非行により身柄が確保されたため昭和四九年四月一二日同窃盗非行とともに松江家庭裁判所に移送・同年五月二日松江家庭裁判所において保観察決定

昭和四九年一月二四日

名古屋市南区

普通車無免許運転・人身事故

当庁において昭和四九年五月二九日事件受理同年六月一〇日当庁岡崎支部回付・同支部において同年八月三日検察官送致決定・起訴状謄本未送達の模様

同年七月九日

愛知県豊田市

普通車(少年所有)無免許運転

当庁岡崎支部昭和四九年一〇月九日検察官送致決定・起訴状謄本未送達の模様

同年八月一七日

名古屋市南区

普通車(少年所有)無免許運転・速度違反(二五キロメートル毎時超過)

本件非行(当庁において昭和四九年一〇月八日事件受理・交通原票記戦の勤務先に照会するも二年前退職した旨の回答があり所在不明のまま推移・後記番号九の非行により所在判明し昭和五〇年一月二二日緊急同行状発布・同日執行・同日観護措置決定)

同年同月二四日

静岡県湖西市

普通車(少年所有)無免許運転・公安委員会遵守事項違反(下駄履)

本件非行(当庁において昭和四九年九月二六日事件受理・交通原票記載の住所地は同居中の友人のアパートとの供述調書が添付されておりアパート名すら不詳のまま推移・上記番号六の非行とあわせて昭和五〇年一月二二日観護措置決定)

同年一〇月二二日

島根県簸川郡○○町

普通車(少年所有)無免許運転・速度違反(四〇キロメートル毎時超過)・赤信号無視三件・踏切不停止

本件非行(当庁において昭和四九年一一月一九日事件受理)

昭和五〇年一月二一日

名古屋市南区

普通車(少年所有)無免許運転・人身事故

本件非行(当庁において昭和五〇年二月一〇日事件受理)

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